古典

第二段 俗物批判

いにしへのひじりの御世の政をもわすれ、民の愁、国のそこなはるるをも知らず、よろづにきよらをつくしていみじと思ひ、所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。 「衣冠より馬・車にいたるまで、有るにしたがひて用ゐよ。美麗をもとむる事な...
古典

高子の歌

二条のきさきのはるのはしめの御うた ゆきのうちにはるはきにけりうくひすのこほれるなみたいまやとくらむ(4) 雪の内に春は来にけり鶯の凍れる涙今や溶くらむ 「まだ雪がある内に春が来ていたのだなあ。それなら、鶯の凍っている涙が今は溶けているだろ...
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第一段 身分への願い

いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事こそ多かめれ。御門の御位はいともかしこし。竹の園生の末葉まで、人間の種ならぬぞやんごとなき。一の人の御有様はさらなり、ただ人も、舎人など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ。その子、孫までは、はふれにたれど...