古典

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《物語を感じる季節》

題しらす よみ人しらす さつきまつはなたちはなのかをかけはむかしのひとのそてのかそする (139) 五月待つ花橘の香を嗅げば昔の人の袖の香ぞする 「五月を待って咲く花橘、その香を嗅いだところ、昔馴染みの人の香りがする。」 「五月待つ花橘」は...
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第百二十六段  博打の時機

ばくちの負けきはまりて、残りなく打ち入れんとせんにあひては、打つべからず。たちかへり、つづけて勝つべき時の到れると知るべし。その時を知るを、よきばくちと言ふなりと、或者申しき。 「博打打ちの負けが極まって、残り全部掛けようとする場面に遭って...
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《郭公の初音》

題しらす  伊勢 さつきこはなきもふりなむほとときすまたしきほとのこゑをきかはや (138) 五月来ば鳴きも古りなむ郭公まだしきほどの声を聞かばや 「五月が来たら鳴き声も古くなってしまうだろう。郭公よ、まだ鳴く時節でない頃の声を聞きたい。」...