古典

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第百七十四段  大につくべし

小鷹によき犬、大鷹に使ひぬれば、小鷹にわろくなるといふ。大につき小を捨つる理、誠にしかなり。人事多かる中に、道を楽しぶより気味深きはなし。これ、実の大事なり。一たび道を聞きて、これに志さん人、いづれのわざかすたれざらん。何事をか営まん。愚か...
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《悲しき虫の音》

題しらす よみ人しらす わかためにくるあきにしもあらなくにむしのねきけはまつそかなしき (186) 我がために来る秋にしもあらなくに虫の音聞けばまづぞかなしき 「私のために殊更来る秋ではないのに、虫の音を聞くと、まず悲しくなることだ。」 「...
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第百七十三段  小野小町の伝聞

小野小町が事、きはめてさだかならず。衰へたるさまは、玉造と言ふ文に見えたり。この文、清行が書けりといふ説あれど、高野大師の御作の目録に入れり。大師は承和のはじめにかくれ給へり。小町が盛りなる事、その後の事にや、なほおぼつかなし。 小野小町:...