山川 信一

古典

《逢う人次第》

題しらす 凡河内みつね なかしともおもひそはてぬむかしよりあふひとからのあきのよなれは (636) 長しとも思ひぞ果てぬ昔より逢ふ人からの秋の夜なれば 「題知らず 凡河内躬恒 長いとも思い切れない。昔から逢う人次第の秋の夜なので。」 「(思...
古典

《女の思い》

題しらす をののこまち あきのよもなのみなりけりあふといへはことそともなくあけぬるものを (635) 秋の夜も名のみなりけり逢ふと言えば事ぞともなく明けぬるものを 「題知らず 小野小町 秋の夜も名ばかりであった。逢うとあっさり開けてしまうの...
古典

《夜明けの別れ》

題しらす よみ人しらす こひこひてまれにこよひそあふさかのゆふつけとりはなかすもあらなむ (634) 恋ひ恋ひて稀に今宵ぞ逢坂の木綿付け鳥は鳴かずもあらなむ 「題知らず 詠み人知らず 恋して恋して稀に今夜逢うのだ。逢坂の鶏は鳴かないで欲しい...