山川 信一

古典

《暁の郭公》

題しらす よみ人しらす ほとときすゆめかうつつかあさつゆのおきてわかれしあかつきのこゑ (641) 郭公夢か現か朝露の起きて別れし暁の声 「題知らず 詠み人知らず 郭公は夢なのか現実なのか。朝露が置く朝に起きて別れた暁の声は。」 「朝露のお...
古典

《女の思い》

題しらす 寵 しののめのわかれををしみわれそまつとりよりさきになきはしめつる (640) 東雲の別を惜しみ我ぞまづ鳥より先に泣き始めつる 「題知らず 寵 東雲の別れが惜しいので、私がまず鳥より先に泣き始めてしまった。」 「(別れ)を(惜し)...
古典

《雨に濡れても》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた としゆきの朝臣 あけぬとてかへるみちにはこきたれてあめもなみたもふりそほちつつ (639) 明けぬとて帰る道には扱き垂れて雨も涙も降り濡ちつつ 「寛平御時の后の宮の歌合の歌 敏行の朝臣 明けてしまったと言って...