山川 信一

古典

《共に夢を見る》

人にあひてあしたによみてつかはしける なりひらの朝臣 ねぬるよのゆめをはかなみまとろめはいやはかなにもなりまさるかな (644) 寝ぬる夜の夢を儚み微睡めばいやはかなにも成り勝るかな 「人に逢って朝に詠んでやった 業平の朝臣 あなたと寝た夜...
古典

《技巧を凝らす》

題しらす 大江千里 けさはしもおきけむかたもしらさりつおもひいつるそきえてかなしき (643) 今朝はしもおきけむ方も知らざりつ思ひ出づるぞ消えて悲しき 「今朝は霜が置いたことも、いつ起きただろうかも知らなかった。思い出すと心も消え入って悲...
古典

《男の気遣い》

題しらす よみ人しらす たまくしけあけはきみかなたちぬへみよふかくこしをひとみけむかも (642) 玉櫛笥明けば君が名立ちぬべみ夜深く来しを人見けむかも 「題知らず 詠み人知らず 夜が明けたらあなたの浮き名が立つに違いないから夜遅く帰って来...