山川 信一

古典

《関係の露見》

題しらす よみ人しらす なとりかはせせのうもれきあらはれはいかにせむとかあひみそめけむ (650) 名取川瀬々の埋もれ木現れば如何にせむとか逢ひ見初めけむ 「名取川の多くの瀬の埋もれ木が現れたらどうしようと思い情を交わし始めたのだろうかなあ...
古典

《隠された本音》

題しらす よみ人しらす きみかなもわかなもたてしなにはなるみつともいふなあひきともいはし (649) 君が名も我が名も立てじ難波なるみつとも言ふなあひきとも言はじ 「題知らず 詠み人知らず 「君の噂も私の噂も立てまい。見たとも言うな。逢った...
古典

《月光の逢瀬》

題しらす よみ人しらす さよふけてあまのとわたるつきかけにあかすもきみをあひみつるかな (648) さ夜更けて天の門渡る月影に飽かずも君を逢ひ見つるかな 「題知らず 詠み人知らず 夜が更けて天の川の渡し場を渡る月の光の元これで満足と思わず君...