山川 信一

古典

《夢より現実》

題しらす こまち うつつにはさもこそあらめゆめにさへひとめをよくとみるかわひしさ (656) 現にはさもこそあらめ夢にさへ人目を避くと見るが侘しさ 「題知らず 小町 現実にはそうもあろうけれども、夢にまでも人目を避けると見るのがつらい。」 ...
古典

《恋の継続》

返し たちはなのきよ木 なきこふるなみたにそてのそほちなはぬきかへかてらよるこそはきめ (655) 泣き恋ふる涙に袖の濡ちなば脱ぎ替へがてら夜こそは着め 「返し 橘清樹 泣き恋うる涙で袖がびしょびしょになったら、脱ぎ替えがてらに夜は着るだろ...
古典

《男心を動かす》

たちはなのきよきかしのひにあひしれりける女のもとよりおこせたりける 読人不知 よみ人しらす おもふとちひとりひとりかこひしなはたれによそへてふちころもきむ (654) 思ふどちひとりひとりが恋ひ死なば誰によそへて藤衣着む 「橘清樹が忍んで逢...