山川 信一

古典

《遠ざかる雁》

題しらす よみ人しらす あしへよりくもゐをさしてゆくかりのいやとほさかるわかみかなしも (819) 葦辺より雲ゐを指して行く雁のいや遠ざかる我が身悲しも 「題知らず 詠み人知らず 葦の生えている辺りから雲を指して行く雁のようにますます遠ざか...
古典

《悲しい気付き》

題しらす よみ人しらす ありそうみのはまのまさことたのめしはわするることのかすにそありける (818) 荒磯海の浜の真砂と頼めしは忘るる事の数にぞありける 「題知らず 詠み人知らず 波が荒い海の浜の砂と頼りにしたのは、忘れることの数であった...
古典

《荒らすだけ》

題しらす よみ人しらす あらをたをあらすきかへしかへしてもひとのこころをみてこそやまめ (817) 荒を田を荒ら鋤き返し返しても人の心を見てこそ止まめ 「題知らず 詠み人知らず 荒れた田を荒く鋤き返すように繰り返しても人の心を見て止めようと...