山川 信一

古典

《人から時へ》

題しらす/又は、こなたかなたに人もかよはす よみ人しらす わすらるるみをうちはしのなかたえてひともかよはぬとしそへにける (825) 忘らるる身を宇治橋の中絶えて人も通はぬ年ぞ経にける 「題知らず/または、あちらこちらに人も通わない 詠み人...
古典

《心の反転》

題しらす 平貞文 あきかせのふきうらかへすくすのはのうらみてもなほうらめしきかな (823) 秋風の吹き裏返す葛の葉のうらみても猶恨めしきかな 「題知らず 平貞文 秋風が吹き裏返す葛の葉の裏を見るではないが、恨んでもやはり恨めしいことだなあ...
古典

《古びる》

題しらす よみ人しらす あきといへはよそにそききしあたひとのわれをふるせるなにこそありけれ (824) 秋と言へばよそにぞ聞きし徒人の我を古せる名にこそありけれ 「題知らず 詠み人知らず あきと言えば余所に聞いていた。移り気な人が私を古くす...