山川 信一

古典

《締めの歌》

題しらす 読人しらす なかれてはいもせのやまのなかにおつるよしののかはのよしやよのなか (828) 流れては妹背の山の中に落つる吉野の川のよしや世中 「題知らず 詠み人知らず 流れては妹背の山の中に落ちる吉野川ではないが、私は泣きながら恋を...
古典

《修復不可能》

題しらす とものり うきなからけぬるあわともなりななむなかれてとたにたのまれぬみは (827) 浮きながら消ぬる泡ともなりななむ流れてとだに頼まれぬ身は 「題知らず 友則 浮きながら消えてしまう泡ともなってしまいたい。流れてさえも当てにされ...
古典

《長らえても》

題しらす 坂上これのり あふことをなからのはしのなからへてこひわたるまにとしそへにける (826) 逢ふことを長良の橋の長らへて恋ひ渡る間に年ぞ経にける 「題知らず 坂上是則 逢うことが無く長良の橋ように長く生き長らえて恋ひ渡る間に年を経た...