山川 信一

古典

《慰めの煙》

ほりかはのおほきおほいまうち君身まかりにける時に、深草の山にをさめてけるのちによみける 僧都勝延 うつせみはからをみつつもなくさめつふかくさのやまけふりたにたて (831) 空蝉は殻を見つつも慰めつ深草の山煙だに立て 「堀川の太政大臣藤原基...
古典

《権力者の死》

さきのおほきおほいまうちきみをしらかはのあたりにおくりける夜よめる そせい法し  ちのなみたおちてそたきつしらかははきみかよまてのなにこそありけれ (830) 血の涙落ちてぞ滾つ白河は君が世までの名にこそありけれ 「前太政大臣藤原良房を白河...
古典

《妹の突然の死》 巻十六:哀傷哥

いもうとの身まかりにける時よみける 小野たかむらの朝臣 なくなみたあめとふらなむわたりかはみつまさりなはかへりくるかに (829) 泣く涙雨と降らなむ渡り河水勝りなば帰り来るかに 「妹が亡くなった時に詠んだ 小野篁朝臣 泣く涙が雨となって降...