山川 信一

古典

《恋人の死》

あひしれりける人の身まかりにけれはよめる 紀つらゆき ゆめとこそいふへかりけれよのなかにうつつあるものとおもひけるかな (834) 夢とこそ言ふべかりけれ世の中に現あるものと思ひけるかな 「親しく交際していた人が亡くなったので詠んだ 紀貫之...
古典

《友の死》

藤原敏行朝臣の身まかりにける時によみてかの家につかはしける きのとものり ねてもみゆねてもみえけりおほかたはうつせみのよそゆめにはありける (833) 寝ても見ゆ寝でも見えけり大方は空蝉の世ぞ夢にはありける 「藤原敏行朝臣が亡くなった時に詠...
古典

《墨染めの桜》

ほりかはのおほきおほいまうち君身まかりにける時に、深草の山にをさめてけるのちによみける かむつけのみねを ふかくさののへのさくらしこころあらはことしはかりはすみそめにさけ (832) 深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け 「堀川...