2023-08

古典

《恋の始まり》

題しらす 紀貫之 よしのかはいはなみたかくゆくみつのはやくそひとをおもひそめてし (471) 吉野川岩浪高く行く水のはやくぞ人を思ひ初めてし 「吉野川の岩波が高く行く水のようにはやく人を思い始めたのだ。」 「吉野川岩浪高く行く水の」は「はや...
古典

《まだ見ぬ人への恋》

題しらす 素性法師 おとにのみきくのしらつゆよるはおきてひるはおもひにあへすけぬへし (470) 音にのみきくの白露夜はおきて昼はおもひに敢へず消ぬべし 「噂にだけ聞く菊の白露は夜は置いて昼は日に耐えず消えてしまうだろう。」 「きく」には、...
古典

《恋の普遍性》 巻十一 恋一

題しらす 読人しらす ほとときすなくやさつきのあやめくさあやめもしらぬこひもするかな (469) 郭公なくや皐月の菖蒲草文目も知らぬ恋もするかな 「ホトトギスが泣いていることだ。五月のアヤメ草も知らない理性の働かない恋もすることだなあ。」 ...