古典 第百七十七段 故事に学べ 鎌倉中書王にて、御毬ありけるに、雨降りて後、いまだ庭の乾かざりければ、いかがせんと沙汰ありけるに、佐々木隠岐入道、鋸の屑を車に積みて、多く奉りたりければ、一庭に敷かれて、泥土のわづらひなかりけり。「とりためけん用意ありがたし」と、人感じあへ... 2022.07.06 古典
古典 《秋の夜更け》 題しらす よみ人しらす さよなかとよはふけぬらしかりかねのきこゆるそらにつきわたるみゆ (192) さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ 「もう真夜中になって夜はすっかり更けてしまったらしい。雁の鳴き声が聞こえる空に月が渡る... 2022.07.05 古典
古典 第百七十六段 黒戸の謂われ 黒戸は、小松御門位につかせ給ひて、昔ただ人におはしましし時、まさな事せさせ給ひしを忘れ給はで、常にいとなませ給ひける間なり。御薪(みかまぎ)にすすけたれば、黒戸といふとぞ。 黒戸:内裏の清涼殿の萩戸。 ただ人:天皇・皇族・摂政・関白に対して... 2022.07.04 古典