2022-05

古典

第百六十三段  細部へのこだわり

太衝の太の字、点うつ、うたずといふ事、陰陽の輩、相論の事ありけり。盛親入道申し侍りしは、「吉平が自筆の占文の裏に書かれたる御記、近衛の関白殿にあり。点うちたるを書きたり」と申しき。 太衝:九月をつかさどるとされる神。転じて、九月。 吉平:陰...
古典

《ロマンチックな気分》

題しらす  よみ人しらす あまのかはもみちをはしにわたせはやたなはたつめのあきをしもまつ (175) 天河紅葉を橋に渡せばや織女の秋をしも待つ 「天の河では紅葉を橋にして渡すからか。織女が特に秋を待つ。」 「渡せばや」の「ば」は接続助詞で原...
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第百六十二段  承仕法師の異常性

遍照寺の承仕法師、池の鳥を日来飼ひつけて、堂のうちまで餌をまきて、戸ひとつあけたれば、数も知らず入りこもりけるのち、おのれも入りて、たて篭めて、捕へつつ殺しけるよそほひ、おどろおどろしく聞えけるを、草かる童聞きて、人に告げければ、村の男ども...