古典 第七十六段 法師は人に疎くあれ 世の覚え華やかなるあたりに、嘆きも喜びもありて、人多く行き訪ふ中に、聖法師のまじりて、言ひ入れたたずみたるこそ、さらずともと見ゆれ、さるべき故ありとも、法師は人にうとくてありなん。 世の覚え:世間の評判。 聖法師:民間にあって仏道を修行する... 2021.11.05 古典
古典 《春雨は涙》 題しらす 一本 大伴黒主 はるさめのふるはなみたかさくらはなちるををしまぬひとしなけれは (88) 春雨の降るは涙か桜花散るを惜しまぬ人し無ければ 一本:ある書物。 (人)し:強意の副助詞。 「春雨が降るのは人の涙であろうかなあ。桜の花が... 2021.11.04 古典
古典 第七十五段 つれづれのよさ つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるるかたなく、ただひとりあるのみこそよけれ、世にしたがへば、心、外(ほか)の塵にうばはれてまどひやすく、人にまじはれば、言葉よその聞きに随ひて、さながら心にあらず、人に戯れ、ものにあらそひ、一度(ひ... 2021.11.03 古典