2021-11

古典

《開花の遅速への不満》

題しらす  よみ人しらす はるのいろのいたりいたらぬさとはあらしさけるさかさるはなのみゆらむ (93) 春の色の至り至らぬ里はあらじ咲ける咲かざる花の見ゆらむ 「春の色が行き渡ったり行き渡らなかったりする里はないだろう、なのにどうして咲いて...
古典

第八十段   法師・貴族は武術に手を出すな

人ごとに、我が身にうとき事をのみぞ好める。法師は兵(つわもの)の道を立て、夷(えびす)は弓ひく術知らず、仏法知りたる気色(きそく)し、連歌し、管弦を嗜みあへり。されど、おろかなるおのれが道よりは、なほ人に思ひ侮られぬべし。  法師のみにもあ...
古典

《人は桜をまねる》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた そせい法し はなのきもいまはほりうゑしはるたてはうつろふいろにひとならひけり (92) 花の木も今は掘り植ゑじ春立てば移ろふ色に人習ひけり 「花が咲く木ももう植えまい。春になるといつも、咲いた花はたちまち色が...