古典 第八十二段 不全こそ素晴らしい 「うすものの表紙は、とく損ずるがわびしき」と人の言ひしに、頓阿(とんあ)が、『羅(うすもの)は上下はつれ、螺鈿の軸は貝落ちて後こそいみじけれ』と申し侍りしこそ、心まさりて覚えしか、一部と有る草子などのおなじやうにもあらぬを見にくしといへど、... 2021.11.19 古典
古典 《三輪山の桜》 はるのうたとてよめる つらゆき みわやまをしかもかくすかはるかすみひとにしられぬはなやさくらむ (94) 三輪山をしかも隠すか春霞人に知られぬ花や咲くらむ らむ:現在推量の助動詞。「・・・ているのだろう」 「春の歌と言うことで詠んだ 貫之... 2021.11.18 古典
古典 第八十一段 持ち物は人柄を表す 屏風・障子などの絵も文字も、かたくななる筆様して書きたるが、見にくきよりも、宿の主のつたなく覚ゆるなり。大方も、持てる調度にても、心おとりせらるる事はありぬべし。さのみよき物を持つべしとにもあらず。損ぜざらんためとて、品なくみにくきさまにし... 2021.11.17 古典