古典 第九段 女はただ色を思う 女は、髪のめでたからんこそ、人の目たつべかめれ。人のほど、心ばへなどは、もの言ひたるけはひにこそ、ものごしにも知らるれ。ことにふれて、うちあるさまにも人の心をまどはし、すべて、女の、うちとけたるいも寝ず、身を惜しとも思ひたらず、堪ゆべくもあ... 2021.05.10 古典
古典 《私は春だと認めない》 はるのはしめのうた みふのたたみね はるきぬとひとはいへともうくひすのなかぬかきりはあらしとそおもふ (11) 春来ぬと人は言へども鶯の鳴かぬ限りはあらじとぞ思ふ 「春の初めの歌 壬生忠岑 春が来たと人は言うけれど、鶯が鳴かないうちは... 2021.05.08 古典
古典 第八段 男は女の色香に弱い 世の人の心まどはす事、色欲にはしかず。人の心はおろかなるものかな。匂ひなどはかりのものなるに、しばらく衣裳に薫物すと知りながら、えならぬ匂ひには、必ずときめきするものなり。 久米の仙人の、物洗ふ女の脛の白きを見て、通を失ひけんは、誠に手足・... 2021.05.07 古典