コーヒーブレイク ~係り結び~

 古文の文法に係り結びがあります。現代語には、使われていませんね。その役割って何だと思いますか?これまでにも、少し触れてきました。でも、ここでまとめてみます。
1、書き言葉の文体である。(当時も日常こんな風に話していたわけではない。)
2、文の結びを予告する。(係助詞が出てくると、それに対応した結びがある。)
3、〈ぞ・なむ・こそ〉は、文を強調し、結びの活用形を変える。(「ぞ」と「なむ」は連体形。「こそ」は已然形。文末が終止形の文より強く切れる。)
4、〈ぞ〉は、優雅な文(和歌とか)・改まった文に使う。
5、〈なむ〉は、普通の文・くだけた文に使う。
6,〈や・か〉は、文を疑問文にする。(「や」は問い掛け。「か」は詠嘆。)
7、〈こそ〉は、一度強調して強く切りつつ、〈とは言うものの〉と以下に逆接で続ける。
 次の文を読んでみましょう。 
男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。
男はこの女をこそ得め」は、〈男はこの女を得たいと思うのだけれど・・・〉という意味を表します。「聞かでなむありける。」は、普通の文で、そこで強く切れることを示します。現代語で言えば、段落のような働きをしています。そこで話題が変わると思うといいでしょう。
今日来ずは明日は雪とぞふりなまし消えずはありとも花と見ましや
 これは、和歌で優雅な文体なので「」が使ってあります。「まし」で強く切れます。ちなみに、「見ましや」の「」は疑問を表す終助詞です。係助詞の〈や〉と意味は同じです。ただ、終助詞の方が話し言葉に近い言い方を示します。係り結びは書き言葉の文体だからです。
 古文を読む時には以上のことを生かすと、理解が深まります。

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