古典

第二百二十五段  白拍子の起源

多久資(ひさすけ)が申しけるは、通憲(みちのり)入道、舞の手の中に興ある事どもをえらびて、磯の禅師といひける女に教へて舞はせけり。白き水干に、鞘巻(さうまき)を差させ、烏帽子をひき入れたりければ、男舞とぞいひける。禅師が娘、静と言ひける、こ...
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《堪能しきれない女郎花》

寛平御時、蔵人所のをのこともさかのに花見むとてまかりたりける時、かへるとてみな歌よみけるついてによめる  平さたふん はなにあかてなにかへるらむをみなへしおほかるのへにねなましものを (238) 花に飽かでなに帰るらむ女郎花多かる野辺に寝な...
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第二百二十四段  趣味と実用

陰陽師有宗入道、鎌倉よりのぼりて、尋ねまうで来りしが、まづさし入りて、「この庭のいたづらに広きこと、あさましく、あるべからぬ事なり。道を知る者は植うることを努む。細道ひとつ残して、皆畠に作り給へ」と諌め申しき。  誠に、少しの地をもいたづら...