古典

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第二百三十二段  若者の振る舞い

すべて人は、無智無能なるべきものなり。ある人の子ども、見ざまなどあしからぬが、父の前にて、人ともの言ふとて、史書の文を引きたりし、賢しくは聞えしかども、尊者の前にては、さらずともと覚えしなり。又ある人の許にて、琵琶法師の物語を聞かんとて、琵...
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《秋の草の色》

題しらす よみ人しらす みとりなるひとつくさとそはるはみしあきはいろいろのはなにそありける (245) 緑なる一つ草とぞ春は見し秋はいろいろの花にぞありける 「どの草も緑の同じ草だと春は見た。けれど、秋は様々な花であることだなあ。」 「緑な...
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第二百三十一段  嫌みなわざとらしさ

園(その)の別当入道は、さうなき庖丁者なり。ある人のもとにて、いみじき鯉を出だしたりければ、皆人、別当入道の庖丁を見ばやと思へども、たやすくうち出でんもいかがとためらひけるを、別当入道さる人にて、「この程百日の鯉を切り侍るを、今日欠き侍るべ...