山川 信一

古典

《恋の掟破り》

題しらす よみ人しらす おほかたはわかなもみなとこきいてなむよをうみへたにみるめすくなし (669) おほかたは我が名も湊漕ぎ出でなむ世をうみべたにみるめ少なし 「題知らず 詠み人知らず ひととおり私の名前も噂に出してしまおう。あなたに逢う...
古典

《努力の限界》

題しらす とものり わかこひをしのひかねてはあしひきのやまたちはなのいろにいてぬへし (668) 我が恋を忍びかねてはあしひきの山橘の色に出でぬべし 「題知らず 友則 「私の恋を隠しきれず顔色に出てしまうに違いない。」 「あしひきの山橘」は...
古典

《恋を秘す理由》

題しらす とものり したにのみこふれはくるしたまのをのたえてみたれむひとなとかめそ (667) 下にのみ恋ふれば苦し玉の緒の絶えて乱れむ人な咎めそ 「題知らず 友則 心の内でばかり恋しく思っていると苦しい。乱れよう。人は咎めるな。」 「(恋...