古典 第八十八段 信じれば名品 或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、ある人、「御相伝、浮ける事には侍らじなれども、四条大納言撰ばれたる物を、道風書かん事、時代やたがひ侍らん。覚束なくこそ」と言ひければ、「さ候へばこそ、世にありがたき物には侍りけれ」とて、い... 2021.12.03 古典
古典 《恨み言》 題しらす よみ人しらす まつひともこぬものゆゑにうくひすのなきつるはなををりてけるかな (100) 待つ人も来ぬものゆゑに鶯の泣きつる花を折りてけるかな 「待つ人が来もしないのに、鶯が泣いていた花を折ってしまったことだなあ。」 「待つ人も... 2021.12.02 古典
古典 第八十七段 酒の恐ろしさ 下部(しもべ)に酒飲まする事は、心すべきことなり。宇治に住み侍りけるをのこ、京に、具覚房とて、なまめきたる遁世の僧を、小舅なりければ、常に申しむつびけり。或時、迎へに馬を遣(つかは)したりければ、「遥かなるほどなり。口づきのをのこに、先づ一... 2021.12.01 古典