山川 信一

古典

第二百四段  鞭打ちの作法

犯人(ぼんにん)を笞(しもと)にて打つ時は、拷器に寄せて結ひつくるなり。拷器の様も、寄する作法も、今はわきまへ知れる人なしとぞ。 拷器:拷問に用いる道具。 「罪人を鞭で打つ時は、拷器に罪人を引き寄せて、それに縛り付けるのである。拷器の形も、...
古典

《秋の音》

題しらす よみ人しらす あきはきをしからみふせてなくしかのめにはみえすておとのさやけさ (217) 秋萩を柵み伏せて鳴く鹿の目には見えずて音の清けさ 「秋萩を絡め倒して鳴く鹿の、目には見えないものの、音の何と澄み通っていることよ。」 「鹿の...
古典

第二百三段  靫の作法

勅勘の所に靫(ゆぎ)かくる作法、今はたえて知れる人なし。主上の御悩(ごなう)、大方、世中の騒がしき時は、五条の天神に靫をかけらる。鞍馬にゆぎの明神といふも、靫かけられたりける神なり。看督長(かどのおさ)の負ひたる靫を、その家にかけられぬれば...