山川 信一

古典

《逢った後の恋》

題しらす よみ人しらす あひみすはこひしきこともなからましおとにそひとをきくへかりける (678) 逢ひ見ずは恋しきことも無からまし音にぞ人を聞くべかりける 「題知らず 詠み人知らず 結ばれなかったら恋しいこともなかったでしょう。噂にあなた...
古典

《恋の沼の花》

古今集 巻十四:恋四 題しらす よみ人しらす みちのくのあさかのぬまのはなかつみかつみるひとにこひやわたらむ (677) 陸奥の安積の沼の花かつみかつ見る人に恋ひや渡らむ 「題知らず 詠み人知らず 東北の安積の沼の花かつみではありませんが、...
古典

《女の思い》

題しらす 伊勢 しるといへはまくらたにせてねしものをちりならぬなのそらにたつらむ (676) 知ると言えば枕だにせで寝しものを塵ならぬ名の空に立つらむ 「題知らず 伊勢 知ると言うから枕さえもしないで寝たのに塵ではない名がどうして空に立って...