2021-05

古典

第十五段 旅について

いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ、目さむる心地すれ、そのわたり、ここかしこ見ありき、ゐなかびたる所、山里などは、いと目慣れぬ事のみぞ多かる、都へたよりもとめて文やる。「その事かの事、便宜に、忘るな」など言ひやるこそをかしけれ、さやうの所...
古典

《野焼きと恋》

題しらす よみ人しらす かすかのはけふはなやきそわかくさのつまもこもれりわれもこもれり (17) 春日野は今日はな焼きそ若草のつまも籠もれり我も籠もれり な・・・そ:禁止を表す。どうか・・・してくれるな。 若草の:「つま」の枕詞。 「春日野...
古典

第十四段  昔の和歌は優れている

和歌こそ、なほをかしきものなれ、あやしのしづ・山がつのしわざも、言ひ出でつればおもしろく、おそろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言へば、やさしくなりぬ。  この比の歌は、一ふしをかしく言ひかなへたりと見ゆるはあれど、古き歌どものやうに、いか...