誠先生の感想

「父親は、少し離れたがけっぷちに腰を下ろして、黙ってたばこをふかしていた。」とありました。あの時、父親は、妻を死なせてしまったのは自分のせいだと思っていたんじゃないでしょうか。顔向けができないという思いだったんじゃないでしょうか。だから、家族と一緒にお墓に向かえなかったように思えます。父親は自分のせいでは無いことに対して、そんな風に自分を責めているような気がします。と言うのも、日本人は次のような考え方をするからです。こんな話があります。
 東京大空襲で焼け野原になったところへ昭和天皇が視察に来て、そこで家が焼けてしまった人たちが天皇に言った言葉が「陛下、みんな焼けてしまいまして、ほんとうに申しわけございません。」だったそうです。決して皮肉を言ったわけじゃありません。
 なんと慎ましくて健気なのでしょう。天皇は絶対的な存在であり正義であるから、悪いのは自分たちであると考えるのでしょう。
 でも、こうした思考では改まらないこともあります。悪いのは父親ではありません。世の中の方です。言うべきことはしっかり主張できる人になってください。

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