2020-01

古典

先生の話

誠先生がいつの間にか傍で話を聞いていた。そして、こんな話をしてくれた。「島田さんはよく「メロスほどの男」という表現に注目しましたね。これは明らかにメロスを肯定的に受け止めてもらいたい作者の意志の表れです。作者は、権威にひるむことなく立ち向か...
古典

未練の情

メロスも、満面に喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願...
古典

結婚式

眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは...