2019-05

古典

第十七段 ~恋の息抜き~

年ごろおとづれざりける人の、桜のさかりに見に来たりければ、あるじ、あだなりと名にこそ立てれ桜花年にまれなる人も待ちけり返し、 今日来ずは明日は雪とぞふりなまし消えずはありとも花と見ましや  〈昔〉も〈男〉も出てこない。なぜか。なるほど、「人...
古典

第十六段 ~その二 友の援助~

思ひわびて、ねむごろにあひ語らひける友だちのもとに、「かうかう、いまはとてまかるを、なにごともいささかなることもえせで、つかはすること」と書きて、奥に、 手を折りてあひ見しことをかぞふれば十といひつつ四つは経にけりかの友だちこれを見て、いと...
古典

第十六段 ~その一 熟年離婚~

昔、紀有常といふ人ありけり。三代のみかどに仕うまつりて、時にあひけれど、のちは世かはり時うつりにければ、世の常の人のごともあらず。人がらは、心うつくしく、あてはかなることを好みて、こと人にもにず。貧しく経ても、なほ、むかしよかりし時の心なが...