コーヒーブレイク ~読者の皆様へ~

 更新が毎日だと読むのが大変そうなので、日曜日はお休みにします。
 そこで、この授業の目的を確認しておきます。目的は二つあります。順番は無いので、どちらも1です。
1,『伊勢物語』を恋の教科書として読む。
1,『伊勢物語』を日本語表現の教科書として読む。
 まず、恋の教科書について。これは実際に作者がそういうつもりで書いたと想定しています。だから、考えつくありとあらゆる恋のケースを網羅しています。恋はそう簡単なものではありません。なのに、教科書もなく、立ち向かうのは無謀です。誤解したり、失敗したりするに決まっています。そこで、これで勉強してもらおうとしたのでしょう。作者は千年の時を超えた読者を想定しています。現代人の私たちにも語っています。
 次に、日本語表現の教科書について。これも実際に作者がそういうつもりで書いたと想定しています。恋は言葉でするものです。人は言葉で心を通わせるものだからです。言葉を鍛えなければ、恋は元より円滑な人間関係は築けません。言葉によって、どうやったら相手の心を動かせるでしょう。そこで登場したのが和歌です。和歌は巧みな日本語表現の宝庫です。その和歌がいかに偉大な力を持つのかを実践して見せます。我々は、そのまままねをしてもいいし、和歌の心を応用して、今にふさわしい表現を生み出してもいいのです。
 こうしてみると、『伊勢物語』は空前絶後の大天才が書いたとしか思えません。おそらく紀貫之です。そう想定することで、ますます『伊勢物語』が読めるような気がします。そこから学ばない手はありません。
 最後に読む態度について言います。私は自分の読みを述べます。しかし、作品に対して読者と対等の位置にいるつもりです。「私はこんな風に読みます。あなたはいかがですか?」という態度です。どうぞ、それを参考にして、ご自分の読みをしてください。

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