2019-04

古典

第三段 ~恋は貧しくとも~

昔、男ありけり。懸想じける女のもとに、ひじき藻といふものをやるとて、 思ひあらばむぐらの宿に寝もしなむひじきものには袖をしつつも  二条の后の、まだ帝にも仕うまつりたまはで、ただ人にておはしましける時のことなり。 「懸想じける」(=思いを掛...
古典

4月29日の天声人語

「わが国の男女は恋愛することが、下手なのである」。菊池寛は昭和初期、『恋愛と結婚の書』を著した。その半世紀前、福沢諭吉は『男女交際論』で、日本の近代化には男女の自由交際が必要だと説いている。・・・「恋人がほしいですか」。内閣府が数年前、20...
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第二段 ~恋は誠実であれ~

昔、男ありけり。奈良の京は離れ、この京は人の家まだ定まらざりける時に、西の京に女ありけり。その女、世人にはまされりけり。その人、かたちよりは心なむまさりたりける。ひとりのみもあらざりけらし。それをかのまめ男、うち物語らひて、かへり来て、いか...